【読書感想】啼かない鳥は空に溺れる 唯川恵
唯川恵さんの「啼かない鳥は空に溺れる」をよみました。
2017.5.18読了
母に疎まれ、母に怯えてきた32歳の千遥は、愛人の援助でセレブ気取りで暮らしている。年下のフリーター・功太郎から熱心に迫られ、なんとなく関係してしまうが、もちろんそんな男を結婚相手として母に紹介できるはずがない。けれど、功太郎が公認会計士の試験に合格し、千遥の気が変わる。この相手なら、母を満足させられるのではないか、と。
母に愛され、母が大好きな27歳の亜沙子は、ずっと母と二人暮らし。母との週末ランチが習慣だ。ある日のランチに母は田畑というおとなしい男を招く。男として魅力があるわけではないが、母がいいという相手だし、とくに嫌なところもないし、と亜沙子は結婚を決める。 結婚を機に、二組の「母娘」が向き合うとき、そこに生まれるのは、謀反か和解か――。
思いがけないラストまで一気読み必至の長篇小説。 amazonより
2組の母娘の歪んだ関係のお話でした。愛情を求めても幼い頃から母親に拒否されてきた千遥と、過干渉な母親の善意を装った重たい思いに絡めとられそうな亜沙子。
それぞれの章が交互に書かれます。ラストに向かってどちらの母娘とも和解して幸せにむかっていくとおもいきや。最後、亜沙子の母親のブログの言葉にも恐ろしさをかんじたけれど、千遥の母親の言葉が、もし記憶の残像としてではなく現在の言葉としたらと思うとゾッとしました(え、嘘。って思わず声に出ちゃったくらい。)
世代的にはこの本に出てくる母親の立場なのですが、わたしも幼い頃から母親との関係にそうとう悩んだのでどちらのお話も娘側の目線で読んでしまいます。わたしの娘に対する愛情はどうなんだろう?娘にとって居心地のよいものだとよいのだけれど。
タイトルの啼かない鳥とは、母親に気持ちを吐き出すことができない娘のことなのですね。
愛情って豊かに生きていくうえでとても大切なものだけれど、多すぎても少なくてもうまくいかなくて面倒なものだなあ。
amazon 啼かない鳥は空に溺れる (幻冬舎単行本)
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