【読書感想文】佐藤正午さん <Y>を読みました。
【Y】佐藤正午さんを読みました。
2016.10.9再読
内容(「BOOK」データベースより) ある晩かかってきた一本の奇妙な電話。北川健と名乗るその男は、かつて私=秋間文夫の親友だったというが、私には全く覚えがなかった。それから数日後、その男の秘書を通じて、貸金庫に預けられていた一枚のフロッピー・ディスクと、五百万の現金を受け取ることになった私はフロッピーに入っていた、その奇妙な物語を読むうちにやがて、彼の「人生」に引き込まれていってしまう。この物語は本当の話なのだろうか?時間を超えた究極のラブ・ストーリー。 amazon内容紹介より抜粋
【記憶にない、北川というかつて自分と親友だったという男から電話を受けた主人公の秋間。北川から間接的に受け取ったフロッピーディスクには信じ難い驚くべきことが記されてあった。】
過去に戻ることができるとしたら。
あの日あの時間に戻れたら、という風に思ったことがある人は多いのではないかな。この物語は強く後悔の残る出来事が起こったその日に実際に戻って、出来うる限りよい方向に変えようとする北川の語る章と、その信じられないような話を次第に信じ始める秋間の章と交互に書かれています。
残された側が語りてなところがさらに物語を複雑に、そして面白くしている。
タイムスリップのお話しが好きでいくつか読んだことがあるのですが、そのほとんどが過去に戻る側の人間から書かれたお話しなのに、このYは最初に起こった出来事からなにもしないまま経過した時間軸に残された側の秋間が語り手となっています。
飛んだ方じゃなく残された側が主人公なところがさらに物語を謎のものとしていき、秋間と同じくわけがわからない読者のわたしはハラハラとさせられました。
それぞれの時間軸で限られた登場人物。
限られた登場人物が、1度目(とされる)の人生にも2度めにも登場して、その関係性が違ったものになって複雑な縁でからまっていて、わたしの脳力ではかなりこんがらがって読んでる間、何度か頭の中で相関図を作りながら読んでいました^^;
こんがらがったりしましたけれど、かなり面白くていままで読んできたミステリーの中でも好きな作品ベスト10には入る作品です。
amazon Y (ハルキ文庫)
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